ひざや関節の痛みは、なったことのない人には想像が難しいですが、何ともいえない不快な症状です。

これらの症状を少しでも和らげるために、サプリメントに頼る人も多くいます。

関節痛の原因と、サプリメントによる症状を和らげる効果について解説していきます。

関節痛とは

外傷や病気がないのにひざや股関節などが痛むもので、加齢とともに発症する人が増加します。

関節内では骨どうしが接していますが、これらの表面を覆ってクッションの役割を果たしているのが軟骨です。この軟骨が年齢に伴い摩耗して、痛みや炎症が起こるのです。

変形性関節症

関節痛の中で多い症状であり、関節をスムーズに動かすための軟骨が加齢と共に脆くなり、欠けたりすり減ったりして周囲に炎症を起こします。

筋肉が少ない傾向があり、関節への負担が大きい女性に多いのが特徴です。同じ理由で関節への負荷が高い肥満の人もリスクが高いとされています。

筋肉が衰える

軟骨が減り続けることで、少し動かすだけでも痛みを感じるようになります。そうなると、関節を動かす事を避けるようになり、その結果、関節周辺の筋肉が衰え、さらに関節への負担が増えるという悪循環に陥ってしまいます。

関節リウマチ

細菌やウィルスなどの外敵から身体を守る免疫システムに異常が生じ、司令塔であるリンパ球が、自分自身の体を攻撃してしまうことが原因で発病します。

異常をきたしたリンパ球が関節で炎症を起こすと、こわばり、痛みに、腫れが生じ、症状が続くと関節が変形してしまいます。

熱や倦怠感などの症状

異常をきたしたリンパ球が流れていくのは関節だけではありません。そのため、微熱、食欲減退、全身倦怠感などの全身症状や、目や口の乾き、せき、運動時呼吸苦、甲状腺腫などの病状を伴います。

膝の症状だけで1000万人以上

国内の患者数でみると、変形性関節症は膝の症状を患っている人だけで1000万人を超えおり、潜在的な患者は3000万人以上と推定されています。

一方、関節リウマチの患者は70~80万人程度であり、圧倒的に変形性関節症が占める割合が高いです。

軟骨成分を積極的に摂取するのは有効か?

変形性関節症は、軟骨が脆くなったり、減ってしまったりする症状ですから、様々なメディアで「軟骨成分を積極的に摂取しましょう」という謳い文句のもと、「グルコサミン」や「コンドロイチン」を含むサプリメントが宣伝されています。

そのような宣伝を鵜呑みにして、軟骨成分がそのまま身体に吸収されて、軟骨が増えると認識している人は多いですが、これは間違いです。

軟骨は再生しない

軟骨には血管がありませんので、細胞や栄養が供給されないため、再生しない組織であると考えられています。さらに、軟骨細胞は増殖能力が非常に乏しいとも言われています。

そのため、軟骨細胞を一度切り出し、培養して増やしてから関節に戻すという外科手術が開発されているのです。

グルコサミンとコンドロイチン

グルコサミンは単糖、コンドロイチン(硫酸)は多糖成分です。多糖は消化されて単糖になってから体内に吸収されます。これは米やパンなどの炭水化物、ケーキやクッキーなどの砂糖を含むお菓子も同じです。

単糖の形で吸収されたコンドロイチンが再び多糖となって軟骨成分になるというのは非科学的ですし、口から入れても内のどの部分で使われるか解明するのは不可能です。

なお、グルコサミンは単糖のためそのまま吸収されますが、軟骨細胞の増殖能力の低さから、軟骨を再生する効果はないといえます。

再生に関する有益な報告はない

グルコサミンの関節痛に対する作用については様々な臨床試験が行われています。

厚労省管轄の(独)国立健康・栄養研究所では、「グルコサミンは経口摂取で変形性関節症におそらく有効と思われる。ただし、症状の急激な再発の予防や、軟骨の再生に効果がないと考えられる」という評価がされています。

また、コンドロイチンに関しては、「変形性関節症に対するコンドロイチンの軟骨の再生効果について報告があるが、現時点では見解が一致していない」としています。

残念ながら、グルコサミンとコンドロイチンには軟骨の再生に関する有意義な報告はされていません。

サプリメントが出来ること

では、「グルコサミン」や「コンドロイチン」のサプリメントは何も効果がないのかというと、そうではありません。これらの栄養素には、頭痛薬などの消炎鎮痛剤に近い痛みの軽減と、関節腔(骨と骨の空間)狭小化の抑制作用が認められています。

すでに関節痛を患っている方には、栄養素の成分で炎症が抑えられ、痛みが緩和されることは有益な事です。

さらに、関節リウマチの予防のためにも、適切な栄養摂取が有効です。成人になると免疫は腸が8割以上を担いますので、腸内環境を良好に保つことで免疫システムの正常化が図れます。

サプリメントでは軟骨を生成して関節を再生することはできません。しかし、痛みを和らげ、関節リウマチの予防をサポートすることが可能です。

様々な栄養素の働きを知り、それらをうまく補給を行うことで、身体の働きを支援する事が、サプリメントを本当の意味で使いこなす事なのです。